熊本駅西口駅前広場設計競技

くまもとアートポリスの参加事業として開かれた設計競技。熊本県、熊本市が主催し、平成23年春の九州新幹線鹿児島ルートの全線開業に向け、これに合わせた熊本駅周辺の整備を進めている。駅東側の「九州・熊本の情報発信の場」と駅西側の「新しい都市生活を創造する場」とを結ぶ、多種多様な人々が集い、交流する拠点のひとつとして位置づけられている中で、熊本の玄関口また交流拠点に相応しい駅前広場の提案を求められた。すでに「熊本駅東口駅前広場プロポーザル」にて東口広場の関連施設の実施が決定していることを踏まえ、駅および東口広場の整備との連続性を尊重しながら、透明な壁に囲まれた2つの中庭とその周囲を覆う屋根を持った駅前広場を提案した。2つの中庭のうちの一つは「トランジット・コート」と呼称し、交通スペースとしてのロータリーをガラスの透明な壁とフラットな薄い屋根でゆるやかに包み込み、にぎわいが重視される東口と性格を異にした、日常的で落ち着きのある安全な駅前広場の実現を目指した。昇降場は大型バス、市バス、タクシーのように車種、定員の違いをスチールフラットバーによるアーチ開口のサイズで明確化した。もう一つの「インナー・コート」と称する中庭は、明るく透明な壁によって風雨から守られた室内を持つ。駅舎正面玄関出入り口の結節点に位置し、新しい都市生活を創造する場として多様な目的をもって訪れる人々が気軽に利用できるスペースを提案した。

計画年:2008
場所:熊本県熊本市
用途:駅前広場
規模:5,700sqm
構造:鉄筋コンクリート造+鉄骨造
階数:地上1階
共同設計:森田淳平