筑波の住宅

田園風景を大切にしたコンセプトハウス。構造計画は地面から80cmほど掘り下げられた1階部分を壁式鉄筋コンクリート造とし、2階部分のキューブおよび1階ダイニングを鉄骨造としている。柱は100mm角を910mmピッチで配置し、鉛直荷重を負担している。2階キューブの水平荷重は周囲に張り出したH形鋼を伝わって、1階のコンクリート外壁に伝達される。外観からはコンクリートの基檀に箱が載っているように見えるが、空間体験としては、100mm角の柱が通し柱として1階まで達しているため、鉄骨フレームの外周に各所室を挟み込んだコンクリートの塀がめぐらされているという構成が知覚できる。また、2階リビングのスラブが1階ダイニングのハイサイドライトの高さだけ持ち上げられているという断面構成の特徴に対して、2階の脚部はラチス材を連続させトラスを構成し、通し柱と併用して曲げ抵抗部材としている。この方法によって1階ダイニングは日本家屋の欄間のような空間が現れ、どこか懐かしさを併せ持った雰囲気を獲得することができた。また、2階においては、リビングと外部テラスのレベルが異なりつつも同じ階にいるような体験を得られると同時に、テラスからダイニングを見下ろすことができ、キューブがテラスから浮いているような特異な架構となっている。平地から山へ入り、薄暗い森を抜けると中腹からつくばの美しい風景が突如として現れる。外構は農園、ウッドデッキ、ウッドチップのアプローチ、パーキングで構成され、生活者のライフスタイルと筑波の風景をつなぐように空間内部のシーンが展開してゆくような構成を目指した。

計画年:2005
場所:茨城県つくば市
用途:専用住宅
規模:120.90sqm
構造:鉄筋コンクリート造+鉄骨造
階数:地上3階