Parallax

2つの用途を含んだ住空間の提案である。ひとつは住宅でありひとつはスタジオというSOHOスタイルである。

住宅の各空間は、スタジオを取り囲むように連続的に配置してある。これは、スタジオ以外の居室を採光、通風、換気を含めた自然環境のコアと見立て、スタジオ内部を人工環境のコアと見立て、スケルトンに対するインフィルの環境設定とした。巨大な行灯が中央に置かれ、その周囲で人々が生活するというイメージである。

居住域は7つの空間をもち、明快な区画が弁のような絞込みによる分節によって構成されている。

サービスルームやユーティリティー、LDK、寝室である。スタジオは何組かの引戸や折れ戸によって数通りの空間に分節が可能である。オフィス部を巨大な行灯と形容したのは、事実照明や空調装置として居住域への光をサプライする意図からであり、今回のような奥行きが深いスケルトンでは有効な方法だと考えている。また、間仕切りは行灯の和紙のようにやわらかく、持続性のある透光性断熱材を想定し、どこか障子で囲まれた和室の風景にも似ている。

くつろいでいる自分の周囲で家事に勤しむ風景や、逆にスタジオで働く自分がうっすら見られたりという個々の時間軸が、絶えず同時平行で流れているような日常的な光景は都心居住のデザインにおいてひとつの解答になるのではないかと考えた。

計画年:2002
場所:東京都
用途:分譲住宅
規模:140sqm
構造:SI方式