第三弾は宅地全体をNPOの活動のためのひらかれた公園のようにしたいと要望された。南浜町は国営と市営に別れながらも復興記念公園の整備が進んでいた。その計画との関連性や、脇に流れる旧北上川の堤防工事による拡幅工事などがあり、宅地買い取りが決まっている難条件だった。一時的にでもこの場所でみんなの居場所のようなものをつくりたいという意思を汲み、その条件の中でできることは何かを模索した。設計条件として、第一弾から共通の設置・解体ができることを前提に、第二弾の絵画と共存するような「ひろば」を検討。馴染みのあるもので意外な使い方をしたいと思い、魚町でもあるので、魚に使う発泡トレイから着想し、発泡スチロールのカタマリで作ることを考えた。ブロックは自己消化性のある1820mm✕920mm✕430mmという規格サイズを4tトラック1台のみで輸送できる数量で計画した。カタマリをなるべくそのまま使い、風圧に耐える程度の根入れを施し、モザイクタイルを貼れる展示壁面やテーブル、ベンチ、花壇として、モザイク絵画を囲むように配置した。余ったブロックは子供がよじ登ったりするおもちゃになった。
冷たい海風の中でも断熱性能の高いベンチは暖かく、のんびり潮風を受けながら過ごす人、思いおもいに談笑する姿、ケンケンパをする子供など、実は以外に自治体が整備してきた公園ではもはや見ることも少なくなった「あそびの光景」がここには確かにあったことに気付かされ、この場所でなくとも、継続的にこのように誰でも集えることはもとより、アート活動のようなある目的的空間がひとつになったような「専門色のある公共空間」というのは、復興の中で生まれるあたらしい公共性なのではないかと感じた。もし、自治体の公園整備に足りないものがあるとすれば、この第一弾から継続的に住民を巻き込んで意思疎通を図ったように、場所の活用方法や場所に対する思い入れを双方で育む不断(普段)の努力を見せることなのだと感じる。
計画年:2012.9~2013.3(第3弾)
場所:宮城県石巻市
用途:アートスペース・広場
主催:NPO法人にじいろクレヨン
協賛:花と緑で3.11プロジェクト みやぎ委員会
スマイルとうほくプロジェクト
セメダイン株式会社 仙台営業所
コニシ株式会社 仙台営業所 ボンド営業本部
提供・協力:株式会社TNコーポレーション
森永スチロール株式会社
ミニプランターワークショップ場所提供・協力:フューチャーアーキテクト株式会社
X-DESIGN株式会社
東日本大震災復興支援イベント:リクルートマーケティングパートナーズブライダル事業本部
協力者:永沼孝之、根子篤也(石巻高校OB)