曹洞宗の寺院に付属する檀家の方々のための小さな休憩所の増築。敷地は宮城県松島市北部の通称奥松島と呼ばれる地域の宮戸島のほぼ中心に位置し、周辺は4つの小さな漁港を抱える集落に囲まれている。境内には慶応元年に創建された本堂、住職の住まいである庫裏、法要や座禅を行う研修会館、茶室が伽藍配置のように配されており、その背後を標高40メートルほどの山が取り囲み、松島四大観と呼ばれる松島湾を一望できる山頂のひとつ大高森へとその稜線を伸ばしてゆく。休憩所は既存住居の南側にしか配することができなかったため、既存家屋の軒高さに合わせた低い平屋とし、また住居と休憩所の往来ができるように既存住居の出窓を掃き出し窓に変更する改修も含めた増築とした。屋根は隣接する家屋からの落雪を増築部周辺のアプローチに落とさないように陸屋根としている。開口部は南面を木製ルーバーとし、防犯性と内部からの視認性を重視し、境内に面する西面は、地窓を換気機能、腰上は室内から境内を眺めるのにちょうどいい高さだけを透明ガラス、それ以外は型板ガラスの下見板張りとした。また、トップライトによって既存住居と休憩所に採光ができる仕組みとなっている。
2011年3月11日発生の東日本大震災において損傷なし。
計画年:2004
場所:宮城県東松島市
用途:庫裏(休憩所)
規模:20.25sqm
構造:木造在来工法
階数:地上1階