House Outside House

アートトリエンナーレ応募案。いくつかの候補地の中から上野集落の敷地を選定し、住民からの要望である公園の機能をもった場を計画した。はじめに考えたことは、最終的な様相が周辺環境を含めた敷地から何かを特化し何かを捨てることなく、既存の豊かな環境を身体を通して体験できることであった。そして、この大地が公園という形式に捕われることなく、地理的にも活動的にも集落の中心として育ってゆける方法を探りたいと考えた。それは、かつての集落という様相の一部であり、家々が「もうひとつの家」をこれから獲得していこうとする状態そのものに対する表現である。全体の構成は、住宅の基礎のような境界の形式によってつくられている。敷地内に李の樹があることから 「公園」という施設形態よりも家がそこにあったというような「生活の刻印」がふさわしいように思えた。細長いヴォリュームは、降雪時でも道路からアプローチが可能になるように導きだされた配置であり、この場所がコミュニティーの中心になるという刻印、スタートラインでもある。それによって分割される2つの外部は、私たちの「集落の外にあるあらたな家を育もうとする意思」と「それに抵抗しようとする大地」の境界でもある。

計画年:2003
場所:新潟県
用途:公園施設
規模:-  
構造:鉄筋コンクリート造
階数:地上1階

「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ2003」応募案