FAQ
前見建築計画一級建築士事務所では、いくつか代表的な疑問&ご質問をまとめております。ご参考ください。
A1. 英語のデザイン「design」、あるいはデッサン「dessin」の語源であるラテン語の「designare」は具体的な問題や課題を解決するための思考・概念の組み立てを行い、様々な媒体に応じて表現することです。ゆえに「計画を記号に表す」という意味で用いられてきました。「意思を表す」と訳しても良いでしょう。
建築においては計画、意匠、構造、設備、環境のように分業体制が多いですが、それを統合していくことが建築「Architecture」と解釈されます。「図案」のような表面を飾り立てて美しく見せるだけの装飾「デコレーション」をデザインと受け止める社会風潮もまだあり乱用もありますが、むしろ現代は「設計」や「計画」がもたらす「美術性」を自覚する人のほうが多いと思います。審美的な要素を含む計画的行為の全般を指すものがデザインです。
前見建築計画は計画と付いている設計事務所ですが、ゴールは常にこの美術的発現を念頭にした計画を行い、そして設計する事務所となります。
A2. 確かに、いまだにそのようなイメージはまとわりついています。設計事務所も様々な主義主張、ブランド戦略を取っていますし、迷った挙げ句、記号としてわかりやすいハウスメーカーを選ぶというお客様も多いと思います。しかし、商品至上主義を通すあまり柔軟性に欠け、お客様の気持を汲めない企業もあるかもしれません。個人法人問わず近年の設計事務所はそのような反省からフランクなところも増えています。逆に客観視してみますと、マンションやハウスメーカー、その展示場の対応こそ敷居の高さで気疲れしてしまいます。
リラックスした気分でお話を伺いながらイメージをかたちづくる。いいデザインを生み出す基本です。
お気軽にお問い合わせください。
A3. もちろん、できます。その地域の風景となれるような建築を生み出せるよう頑張ります。
ただし、東京都23区・多摩地域を除く遠方の場合は、出張交通費を別途いただきます。
A4. はい、あります。まず、分かりやすいたとえとして以下の「5W1H」を整理いただいた上で、お伝えいただければと思います。
When:竣工希望時期はいつか
Where:建設場所はどこか
Who:施主と関係者はだれか
What:目的用途はなにか
Why:要望や大切にしている習慣や物事の理由
How:建築や空間をどう使うか
その上で、こちらよりヒアリングやメール等で確認させていただきます。
ご契約後はある程度任せておいたほうが設計者の想像力は発揮されやすく、予想以上の建築になることが多いです。例えば竣工物件の「大郷の曲り家」のお施主様は「地元の木材を、この木を使って欲しい」とだけ言われて、竣工後に「大きな仕事をしてくれてありがとう、細々としたことは心配しなくていいよ」と言ってくださいました。このお施主様は過去2回ご自宅の建設の経験があるので、采配の仕方をよく知っておられました。建築家に依頼するということは、「創造性を存分に発揮してくれ」ということなのです。
設計プロセスは「長旅」のようなものです。ガチガチの計画を立ててそのとおりにしか移動できないガイド付きツアー(要望が厳格厳密で設計者が関与する余地のないたとえ)というよりも、おおらかな方針は決めても現地の思いがけない発見に感動したり、移動先を少し遠回りしてみたり、場所そのものをいろいろな方向から味わうような行為に似ています。旅をしながら悩んだり立ち止まったり考え込んだ時に(お打ち合わせで)一緒に考え、的確な取捨選択をしてくださるとものすごく助かります。
その連続がやがて複雑怪奇なパズルを紐解き、美しい旅となり風景となります。
A5. お気軽に、<Contact>の入力フォームからご連絡ください。
A6. 土地や賃貸物件契約が決まり、建築の中身を検討し始める時期のご相談が多いです。お引越しやオープン時期が明確でその一年前くらいを目安にご相談ください。それより短いと、短納期短工期となり、ご希望予定時期にお引渡しできなくなる恐れがあります。
また、土地探しの段階や、長期計画で数年後に完成していれば大丈夫という余裕を持った段階に、どんな法律や条例が絡むのか、どんなヴォリュームが建つのかといった企画・調査業務を行うことができます。それを「ファーストプラン」と呼んでいます。
詳しくはメニューの<Work Flow>をお読みください。
いろいろ調べてはみたけど聞いてみたい、と思ったときがベストタイミングです。
A7. 電話やコンタクトフォームを利用した相談時は、所在地や用途、住宅であれば家族構成、車の保有台数や必要床面積、ご融資の進捗状況などを、上段の「設計事務所への上手な依頼の仕方はありますか?」もご参考に簡潔にお伝えください。その上で漠然としたイメージでも結構ですので、この土地で実現したい熱い想いをお聞かせください。
ご面談に至った場合には、土地の資料(公図、地積測量図、購入前なら不動産屋から提供されている土地案内の資料など)、参考にされているイメージがあればその資料をご用意ください。
A8. 初回相談は無料です。
では、2回めの相談から発生するかというとそうでもなく、臨機応援に対応しています。ただし、何度も相談が必要になる見込みであれば、お会いして伺うことをお勧めしています。1~2回のご相談で大まかな内容が確認できて、では一度会ってみましょうとなれば、直接詳しいお話をお伺いに上がります。その際の費用は原則、都内は無料です。遠方の場合は出張交通費を別途いただきます。
費用が発生するのは、あくまでファーストプランや設計・工事監理の「ご契約に至った場合から」です。ファーストプラン等の契約に至る前のラフスケッチ程度でしたら無料の範囲でご相談に乗らさせていただきますが、契約前に図面で提案してほしいというご希望にはそえませんのでご理解ください。理由は、図面というのは「重要情報」であり、それなりに時間を費やし労務を伴う大切な成果物に他ならないからでそれが無料であってはならないからです。
あくまで「ご契約に至った場合から」ですが、中には設計契約前の調査に対して謝礼金をいただくこともあります。契約したい賃貸物件などで一度見て欲しいというご依頼で、調査の結果、借りないほうがいいという結論に至ったこともあります。そういうケースでは、掛かった時間、人件費への謝礼という形でお支払いくださるケースもあります。
当事務所はあくまで契約主義ですので、「サービスで提供できる一般的な情報」と「対価を受けなければ提供できない情報」の区別をきちんとしております。逆に、その区別が曖昧で、簡単に「プラン出しますよ」と値段も出さず言ってくる設計事務所で良い事務所は私は知りません。海外も契約主義なので、契約前にプランニングはしませんし、無料で提案することもしません。
A9. 建築の規模や用途によって変わります。考え方がわかるページをご用意しています。メニューから<About FMA>の「設計料について」をご一読ください。
一般論として、ハウスメーカーや工務店に頼む場合はインハウスの建築士が設計するので総工費に設計料が含まれ、時にはコストが不透明なまま進むケースもあります。取引先が固定されてる場合も多く、仕様変更に柔軟性が欠けることもあります。
フルオーダーの設計・施工分離発注の場合、設計は設計事務所が、施工は施工会社が行いますので業務の透明性が確保でき、仕様についても柔軟性が担保されるため、安心して進めることができます。
ご予算の考え方として(ここでは土地代は除きますが)、まず建物本体の工事費があり、その消費税があります。その他に我々の設計・工事監理費用、建築確認等申請の事務手数料、カーテンや家具などの附帯費用や諸経費が別途かかるということを念頭に置いてください。それら総費用を元に坪単価を弾いて予算計画してしまうと、建築本体に十分予算が充てられず、ご要望が頓挫するリスクが上がります。また、工事中に追加や設計変更したいなどもあり、当初予算より1割くらい増額する傾向もあります。資金計画はこの余剰分も想定されておくとよいと思います。
つまり、ご相談・ご依頼の時点で私どもに伝えるべき予算とは、頭金含めた総予算額の8~9割程度以下の「資金に余力を持たせた上での金額」のことを指します。
ファーストプランでは、あくまで参考ですが上記総費用の想定額として概算見積書「フィナンシャルプラン」をご提示しています。資金計画のご参考にしてください。
A10. 設計契約後は敷地調査を必ず行いますが、購入予定または購入後の土地がどのようなポテンシャルがあるのか事前に確認しておくことは大切です。購入予定/購入後の視察は可能です(候補地がいくつかある場合含む)。
不動産仲介はしておりませんので、お客様にてご購入の目星をつけられた上でご相談ください。
視察の際、ある程度周辺状況や接道状況、境界杭、隣地塀、電柱、騒音、重要事項との照合など、目視確認とアドバイスが可能です。
お気軽にお問い合わせください。
A11. もちろん可能です。住宅に限らず広く対応しております。お気軽にご相談ください。
ただし、短納期、短工期となり得る店舗内装などは、設計・工事監理報酬、施工費用ともに割高になります。理由は、短い時間で完成に漕ぎ着けなければならないため、人員や労務時間を集中的に増やすためです。居抜きで借りた場合でフルリニューアルしたい場合は、建替えと同じように、解体費用とその時間も見込まなければなりませんので、お気をつけください。
A12. もちろんです。家具、カーテン、照明、ドアノブ、ポスト、目に見えるあらゆるモノが対象です。
建物と自然環境のバランスを考え、トータルで設計検討をします。ガーデニングやテラスでの団らんなどイメージを膨らませて、建物と自然との関わりを楽しく快適なものに目指して取り組みます。もし、造園工事のお知り合いなどおられるようでしたら、コラボレーションしながら検討も可能です。お気軽にお申し付けください。
家具についても、空間の一部なのでできればキッチンや収納から椅子、犬小屋までトータルで関わらせていただけるのが良いです。どうしても、好きすぎるメーカーの既製品を入れたい場合もあると思いますので、「これだけは譲れない要望」としてお伝えください。その際も、建築にマッチする製品の良し悪しは一緒に検討可能ですので遠慮なくご要望ください。
都内限定ですが可能です。インスペクション(1次診断)の業務経験も豊富です。
精密診断(2次診断)前の「目視診断と報告書作成」までのサービスとなります。2次診断が必要な場合は別途専門業者をお探しいただくかご案内いたします。
日本ホームインスペクターズ協会(JSHI)公認インスペクター(住宅診断士)という、国家資格ではない民間資格も最近ございますが、その資格がないからといって一級建築士が診断してはいけないという法律はありませんし、診断・鑑定の資格要件を法律で定めてもいません。
国家資格保有者がいない民間企業で少しでもスキルアップをして仕事につなげようという市場開拓の一つと捉えていただくのが良いと思います。
Q13と大きく異なる点は、中古住宅を含む既存建物取引時において売主または買い主が宅建業者と媒介契約を締結する際に、宅建業者は、売主または買い主に対して、専門家による建物状況調査(インスペクション)を行うかどうかの「あっせん」の可否を明示することが義務付けられ、この「あっせん」を受けて、宅建業法が規定する「建物状況調査」を行う場合には、国土交通省が定める実施規定に基づく既存住宅状況調査技術者講習を修了する必要があります。
未受講のため既存建物取引における建物状況調査は実施できません。今後修了した場合お知らせいたします。
~コーヒーブレイク~
アニメーション制作と建築設計の工程から物の価値を考える
子供の頃から慣れ親しむアニメーション。海外でもジャパニメーションは人気ですね。セルアニメから慣れ親しみましたし、今でも人気作や美しい作画の作品はチェックします。プロップデザインも好きですが、特に背景美術に力点を置いて観るようにしています。背景美術、すなわち建築の世界が広がっていますから仕事上とても親和性が高いのです。
アニメ1話のコストと建築のコスト
30分テレビアニメ1話分の制作費は1300万円~1500万円程度かかると言われます。1クール(3ヶ月、12~13話)の総製作費は約2億円弱!もかかる計算なのだそうです。待遇悪化や働き方改革など耳にしますが、1話で下手すると「ローコスト住宅」1棟分まかなえることになります。1話だけでです。制作時期は放送日に間に合わせるには1~3ヶ月前から着手するそうで、3ヶ月あればクオリティは保たれるそうです。1ヶ月しかないと相当色んな意味で厳しいと言われています。近年は海外にCGを発注するなども珍しいことではなくなっていますが、何ごとも納期に余裕をもたせることは大切ですね。
箔をつけるエンドロール
アニメのエンドロールを注意深く「脚本に1名」「背景原図に5名」「仕上げに2名」「声優は誰々」など数えた経験がある方もおられるでしょう。その人数や配役の豪華さがクレジットされることで関係者全員の誇りになり、視聴者の完成度への信頼や感動につながります。企画、脚本、背景美術、音響、CG、彩色などそれぞれの工程にその道のプロが関わり1本の作品が完成します。
表現技法の多様化
近年はフルCGアニメなど背景からキャラの動き、ライティングまですべてをCG化する作品もあり、手描きの工程はプリプロダクションの段階で留め、データ化と各工程の連動を促すことで保存・修正の合理化を図る動きもありますが、その作品に合った工程管理と表現技法の整理・選択は建築設計にも通じます。
エンタメは生命と財産は守れないが心を潤す嗜好品、では建築とは・・・
建築設計の工程を見てみましょう。工程数はアニメを凌ぐほどあることにお気づきでしょうか。戸建て住宅の場合、この工程を何人でこなすでしょう?概ね私達設計元請けの所長と担当者で2人、構造設計で同様、計3~4人といったところです。そして施工の監督や各種職人で延べ30人程度です。トータルではアニメも建築も近い人員で制作にあたっているといえるでしょう。しかしアニメは1話分、建築は1棟分の比較です。エンターテイメント業界とはなんと贅沢な世界なのかとため息が漏れます(人気作は30人では足りない!)。
建築設計の市場価値はおかしい?
30分アニメ1話分、あるいは1クール通して得る感動にかかる体制=人工(にんく)をまともに製作委員会方式のようなやり方でかつ各工程に人員配置して建築設計を行えばアニメ1話分の設計料をお願いしなければならなくなるでしょう。アニメ制作とはある意味生真面目なほど各工程に対する専任制が強い業界であり、逆に言えば、国家資格(アニメに資格は必要ありません)を持ち何十年も人の生命と財産を守り、地域の景観として愛されるべく行われる建築設計はアニメ同様かそれ以上の工程があるにも関わらず少数精鋭で多工程を担っている高負荷な業種ということになります(やりがいも大きい)。
その対価としての報酬額や工事費はアニメと比べても決して高価なものではないのではないでしょうか。事実日本の不動産価格は海外から見てもとても高品質にもかかわらずリーズナブルであるため投資家や購入者が後をたたない状況です。
「建築は一生に一度の高額な買い物なのだから、かかるものはかかるけど少しでも安くして」と言わないで欲しい、そう言いたいわけではありません。お客様一人ひとりご予算があり、その有限な条件の中でさじ加減を加えながら最大限の価値を生み出すのが私の仕事だと思っています。それでも、最近は住宅価格に対しても安ければ安いほうがいいという短期目線の声も多くなっているように感じていて、長期目線で計画してほしいと感じています。
今一度、生み出されるジャパンクオリティの価値について再考する時期に来ているように感じます。
下の図を比較しながら、値段とはなにか、価値とはなにかを一緒に考えてみましょう。