Introduction
これからの建築を目指して
~ひとつの建築が人に幸をもたらし、地域に溶け込み、永く愛されること
大衆の共通解ではなく個別最適解で社会をつなぎ直す
前見建築計画のサイトをご覧いただきありがとうございます。
当事務所では、建築主様個々人の要求条件と真摯に向き合い、場所ごとにフィットする建築を目指し、「ひとつの建築が人に幸をもたらし、地域に溶け込み、永く愛されること」を大切なテーマとしています。これは、多様なライフスタイルの要求に対応し、時代を超えて新鮮さを保ち、地域の風景と調和する建築を目指すもので、大量消費されやすく殺風景な量産型とは真逆の考え方で建築と社会をつなぎ直したいと考えます。
お客様の「これから」、社会情勢の「これから」、地球環境の「これから」
「これまで」と違った「これから」を真剣に考えることで残したいものを真剣に選択し次世代に繋げる。
そのお手伝いをする建築設計事務所です。
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課題先進国ならではの問いに答える
経済再生が課題となっており、日本は少子高齢化の中で課題先進国とされています。70年前に描かれた世界観とは異なり、教育、福祉、産業、都市環境などのあり方が変化し柔軟に変化が求められます。また、コロナ禍での自宅療養に対応する必要があったように、建築のあり方にも変化が求められます。家族構成の変化や働き方によって家や職場の存在意義が変わっており、より一層柔軟でリラックスできる環境が好まれます。前見建築計画では、人とモノや場所と快適に向き合い、人と人がつながる楽しさや尊さを感じられる空間設計を意識します。
それぞれの等身大を問い直す先にある欲する空間
過去、学歴や終身雇用、家の購入・返済計画を基盤とした人生プランが一般的でしたが、現在は多様な働き方や家族のあり方が存在し、個人の内面から生じる自然な欲求の拡大と収縮を受け入れる質的柔軟性が必要とされています。カジュアルな環境や等身大の自然なスケールメリットへの希求が増えているため、戦後築かれた家の概念を押し広げた家が求められています。ただし、それは単に家のバーゲンセールが増えることではなく、柔軟性や機能性を備えた家が求められていることを意味しています。
右倣えをやめてみる
隣の芝生が眩しく見えることがありませんか?著名人のステータスを堅持するための豪邸に憧れますか?他人と比較することなく、地の利や環境への影響を十分考慮しながら、自分自身のライフスタイルや価値観に基づいて拠点を創り上げることを推奨します。自分自身がどのような空間で暮らしたいのかを様々なレベルで想像することが重要であり、建売りや広告の中にある建築プランに縛られるのではなく、自分自身の身体と都市環境や自然環境との接続に価値が生まれることを意識した空間を創り出すことが必要です。
最低25年後も使い方が想像でき、用途変更など更新もできる戦略と冗長性を持たせる
極端にSGDs信仰に陥る必要はありません。大事に考えられた建築は自ずとその条件を備えるものです。しかし、資源を輸入に依存する我が国におけるこれからの住まい・暮らしは、グローバル経済の危機や持続可能性も踏まえた弾力性・回復力(レジリエンス)や冗長性・耐障害性(リダンダンシー)は必須になってきています。そして、より一層地域産業にも目を向け、取得容易性・購入容易性・入手可能性(アフォーダビリティ)を意識した建築が好まれています。その上で、不必要に大きくなりすぎない住まい方が推奨されるでしょうし、時には地域社会に貢献できるような開かれた住まい方や、将来用途変更したいときに応えられるような、多目的な空間の織り込み方なども投資の重要な要素になることもあります。それは他の用途の建築にも当てはまります。
一棟の建築にかけるリソースをできるだけ減らし環境負荷を抑制しながら、しかし物件の社会的利益はできるだけ上向きになる戦略が求められます。減価償却資産上、20~22年経ったら無価値になってしまうような木造住宅は制度で見直せるかもしれませんが、困ったことになかなか見直されません。最低でも25年、できれば50年(登録有形文化財の選定基準「国土の歴史的景観に寄与しているもの」「造形の規範となっているもの」「再現することが容易でないもの」のいずれかに該当する建造物)は目指したいものですし、減価償却資産など気にせず、経年のたびに価値が上向きになる戦略性のある建築が増えてほしいと感じます。
最小単位である住まいをベースに横断的に他の建築についても過ごし方、暮らし方、未来への託し方についての思考を巡らせたいと考えています。
ひとつの建築が人に幸をもたらし、地域に溶け込み、永く愛されること
には、そんな背景があります。
最後に、前見文徳は個人店舗、個人住宅が中心のように思われがちですが、独立前は大手アパレルメーカーの店舗や集合住宅、日本科学未来館企画展、青山スパイラルホールでの企画展などの中規模展示会場や、小規模ながら寺院建築など個人・法人問わず、またRC造、鉄骨造、木造などの構造種別問わず、様々なビルディングタイプを扱ってきました。もっとその経験を活かし皆様のお役に立ちたいと考えています。
プロジェクトごとの性格を見極めながら最適な構造・設備エンジニアリング体制を構築し、その土地ごとの特色を読み解き、お客様一人一人の暮らし方や要求条件と真摯に向き合い、対話を重視した設計・監理に取り組んでおります。
耐震等級3を標準とした耐震性能確保による躯体の安全性はじめ、断熱等級5(ZEH水準)以上とした快適に過ごすための室内環境への配慮などを丁寧に織り込み、その土地の文脈の中で愛着が持てるオリジナルな環境体を提供いたします。
会って話すととても話しやすく、引き出しも多いと言われます。文字が多く硬い印象を持たれるかもしれませんが、何卒ご了承ください。
お話する中で解決できること、理解を得られることは少なくありませんので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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これからの建築とは
学部で4年、大学院で2年、実務家として20余年。いろいろな「建築物」と「建築の出来事」を目の当たりにしてきました。そして独立から4年後、3.11の経験を通してこれまで社会を構成してきた建築群の価値とはなんだろうと強く考えるようになりました。しかし、復興ではまた同じ住宅地の風景が建ち現れ愕然としました。その後、少子高齢化がクローズアップされ「朽ちるインフラ」や「空き家問題」に代表される、人材不足と維持管理レベルでハードウエアのあり方そのものが問われるようになりました。多くのストックが有るにも関わらずうまくバトンされずに市場に乗らない建築物が増えてしまうこの問題と、30年景気低迷にも関わらず謎の安定志向に長期間慣れてしまったことや、輸入に頼る中で戦争や感染症などでグローバルサプライが停滞すると経済活動に支障が出る経験もしたせいで新築需要の低迷に反してタワマンが増えるという奇妙な光景が混在しています。株価は堅調でも実体経済がこのまま低成長を受け入れ続けるとストックは活用されず廃れる一方となり、廃れるのを遅延するために光熱費や交通費をかけて維持し続けるものの、活路を見いだせずに諦め放置してしまうことも増えてしまいます。新築においても無批判に従来の木造nLDK形式が量産され続けてしまうと、賃貸にも売却にも出せず同じように活路が見い出せなくなるかもしれません。低迷する新築の背景には単に実体経済の低成長だけではなく、「これまでの住宅の姿」そのものへの消費者の飽きや拒否があるのではないかと考えます。
そうならないために、建築が普遍的に生き続ける方法を考え提供したいと思っています。立派なガレージを作っても将来そこをガレージとして使ってくれる人が現れるとは限らなければ、2階にリビングを作っても高齢化したとき昇り降りができるとも限らない。でもガレージを街とつながるアウトドアリビングとしてオフィスや店舗環境を想定したり、外階段ひとつ付けたら将来独立して2階を賃貸できる可能性を購入段階から検討しておけば家賃収入が生まれ、活路を見出すことができます。どれだけその不動産を街に接続し、持続的に使い倒せるかの柔軟性が大切です。
Holistic Architectureとは
2025年から省エネ性能基準を満たすことが義務になります。家の温熱性能はZEHが標準になっていきます。基準以下の住まいを売りに出そうとしても売却益は出にくくなることが予想されています。そこは、機械的に向上を図っていけば良いと思っています。木造は揺れることが前提であり、軸組をパネルで塞いで固めていく隙間が多い構造のため、気密・断熱性を高めるのは材料密度が高く意外と室温変化が少ないRC造より大切になるのは必然です。
断熱性能を高めても居心地まで比例するかというと、そうでもないというご経験があるかもしれません。それは性能以外の視覚的な空間の作り方によるかもしれないし、素材や色彩、照明のせいかもしれません。最も身体に訴求する家具のチョイスが悪いだけかもしれないし、お気に入りの家具なのにレイアウトが悪いことが直接的な要因かもしれません。そこに気が付けないまま快適さを損ねて過ごしているケースもあるかもしれません。
構造や設備含めて外観としての纏まりと環境順応性を獲得しながら、暮らしに沿った、しかも建ったあとの未来の活路を想定しながら、それぞれの計画の調停を行うことで造られた建築を《ホリスティック・アーキテクチャ》と定義しています。「全人的建築」と訳せ小難しく聞こえてしまいますが、「使用者がだれであろうと使いやすい環境を提供する建築」のことを指します。よく、「インクルーシブデザイン」という言葉を耳にしたことがあるかもしれませんが、建築はもともと包括性のある存在なのでインクルーシブを意識することは大切ですが、目指すということではなく、はじめからあらゆる使用者を想定し、調停し、そして統合することを目標としたいものです。とても当たり前のことのように聞こえるでしょうが、当たり前がままならない建築も多いように感じる現代だからこそ大切にしたいコンセプトだと感じています。
例えば、ある文化的需要には応えられても、人が活動する空間として心理的需要に応えられず恐怖や息苦しさ、圧迫感などを覚えたり、あるいは要求条件通りに作ったにもかかわらず社会的需要に対して過不足や批判が生じるケースもあります。巨大建築や公共事業で起こりがちです。それでも本当によく練られた建築というのもあるわけで、そういう建築は工学的にも美学的にも倫理的にも融合が上手だったりするので、そのような建築を《Holistic Architecture》と呼び称賛し、目標とします。
当事務所では、以下「fig.永く愛される建築を実現するためのキーワード」に示すような検討段階から様々なレベルでプロジェクトに必要なタグ付けとその相互関連付けを行いながら、建築としてのまとまりがホリスティックであるかを常にフィードバックするよう努めています。工法や素材の吟味にはじまり、結果として建ち現れる空間の新規性の評価に慢心することなく、既存の地域特性や産業、文化的利点なども熟考し、その建築の心理的・社会的意義や地域への貢献度、長期的な維持管理目標、ホスピタリティのような良きユーザー体験まで総合的に設計・評価する態度を備えた建築《Holistic Architecture=これからの建築》をご提案致します。